私たち個人契約柔道整復師は、「柔道整復師の施術に係る療養費について」(保険発第76号及び保発第80号、昭和63年7月14日 通知 )において 受領委任の取扱いを認められ、早32年が経過しました。 また 、個人契約復委任団体は、「柔道整復師の施術に係る療養費について(通知)」の一部改正について(保医発1129第1号、平成22年11月29日通知)及び「柔道整復施術療養費に係る疑義解釈資料の送付について(その2)」(平成23年3月3日事務連絡)において「任意団体」として明記され 、 国民健康保険団体連合会や後期高齢者広域連合、全国健康保険協会、そして健康保険組合等の保険者の皆様と長年に渡って構築させていただいた信頼関係のもとで、個人契約柔道整復師の 社会的地位向上や適切な療養費の取扱い、そして現場の先生方が目の前の患者の施術に専念できる環境を作るため取り組んでまいりました。
また、今回の新型コロナウイルス感染症の影響により、個人契約柔道整復師も患者減少、収入減少、そして消毒等の衛生対策や飛沫防止の間仕切りの設置、換気設備の増設等により感染防止対策の必要経費が大きな負担となりました。私たち全国柔道整復師統合協議会は、会員の復委任団体が一丸となって会員施術所への対策に取り組み、約4億円に及ぶ会費の免除を行う団体やいち早くマスク15万枚を会員施術所へ配布するなどの対策も行ってまいりました。
しかし、柔道整復療養費を中・長期的な視点に立って議論する社会保障審議会医療保険部会「柔道整復療養費検討専門委員会」において、事実と異なる療養費を請求した接骨院グループについて、その請求を関連の請求代行 業者 に取りまとめて請求する仕組みであったと報道されたものが、あたかも全ての個人契約復委任団体が不正請求に関与しているように議論されています。これらは一部の柔道整復師によるものですが、個人契約復委任団体の統合団体としてコンプライアンスを徹底させることができなかったことは真摯に反省しなければ
なりません。
これらの反省を踏まえて、私たちは個人契約の施術管理者が復委任団体に委託できる業務範囲や管理義務等を取り決めるため、厚生労働省や保険者の皆様と協議させていただくことを宣言いたします。
現在、全国に約5万院といわれる接(整)骨院の約3割が「協定」、そして約7割が「個人契約」柔道整復師です。受領委任の契約方法は異なりますが、私たちは日本古来の伝統医療である徒手整復で国民の健康を守る 同じ国家資格を持つ柔道整復師です 。しかしこれまで「協定」や「個人契約」の柔道整復師の間で相互理解を深め、柔道整復業の諸問題について話し合う場がありませんでした。
令和2年4月22日開催の「柔道整復療養費検討専門委員会」において、保険者の意見を反映する専門委員から、柔道整復療養費において償還払いへの移行を希望する健康保険組合を止めないとする通告がなされました。これは、患者の視点に立って国民の安心につながる、持続性のある医療保険制度を崩壊させかねず、国民の負担軽減と利便性を考慮した「受領委任」を堅持し、持続性のある療養費制度を存続させることが国民医療の一翼を担う柔道整復師の責務であります。
私たちは、今こそ「協定」や「個人契約」の垣根を越えて、すべての柔道整復師が抱える諸問題を解決するため、 公益社団法人日本柔道整復師会を含めた他の施術団体との効率的な連携及び意見集約を図り、すべての柔道整復師の社会的地位向上と健全な発展に寄与するため、 共に取り組んでまいりたいと考えています。
是非、私たちの趣旨にご理解ご賛同をいただき、共に全ての柔道整復師の未来を切り拓いてまいりましょう。
令和2年7月21 日
全国柔道整復師統合協議会
共同代表 岸野雅方 田中威勢夫