謹んで、新年のご挨拶を申し上げます。
新型コロナウイルス感染症は未だ終息の見通しがつかない厳しい状況が続いておりますが、入国者の水際対策の緩和、全国旅行支援の再開などの条件付き緩和等が行われ、ウィズコロナを見据えた新たなステップに移行しつつあります。このような中で、特に医療従事者の皆様におかれましては、自己犠牲を伴う大変な御尽力により多くの国民の命を救っていただきました。国民の一人として、すべての医療従事者の皆様に心より感謝申し上げます。
昨年は、「柔道整復療養費に関する患者ごとの償還払いへの変更」や「柔道整復療養費の明細書の無償交付が義務化」され、柔道整復療養費の適正化対策が更に進められました。その中で、個人契約柔道整復師の皆様は、明細書の交付義務化対象の施術所以外でも積極的に無償交付にご協力いただいており、柔道整復師の業界団体として心より敬意を表します。
その一方で、令和2(2020)年度の柔道整復療養費は、前年度に比べて350億円減少の2,863億円(前年度△10.9%減少)となり、ついに3,000億円を下回りました。これは最も高かった平成23(2011)年度の4,127億円と比べると、わずか10年足らずで30%以上減少(1,264億円)したことになります。このままでは、日本の地域医療の一翼を担ってきた柔道整復施術所を維持できず、「国民生活基礎調査」でも国民の有する自覚症状として常に上位を占める運動器系疾患等に対応できなくなります。
柔道整復師業界はこのような大きな危機に直面している中、柔道整復師の国家試験問題を漏洩したとして、公益財団法人柔道整復研修試験財団理事(兼任 公益社団法人日本柔道整復師会副会長)が逮捕されました。公益法人役員が起こした今回の事件は、国家試験制度に対する国民の皆様の信頼を損ない、国民医療の一翼を担う柔道整復師の施術に対する信頼も失墜しかねない大問題です。すべての柔道整復師の統合団体を目指す私ども「全国柔道整復師統合協議会」は、この国家試験問題の漏洩事件を重く受け止め、公益法人役員が起こした事件ではございますが、同じ柔道整復師の業界団体としてあらためて国民の皆様に心からお詫び申し上げます。二度とこのような事件が起こらないように関係省庁や関係団体等ともに、すべての柔道整復師のコンプライアンスの徹底や組織改革等に全力で取り組んでまいります。
全国柔道整復師統合協議会は、すべての柔道整復師の社会的地位向上、未来の柔道整復師の育成、そして日本古来の徒手整復の将来への継承等の様々な課題について、同じ業界団体、開業されている柔道整復師、大学や養成施設など関係者の皆様と一丸となって本年も取り組んでまいります。
令和5年1月1日
全国柔道整復師統合協議会
共同代表 岸野雅方 田中威勢夫