令和6年 新年のご挨拶

謹んで、新年のご挨拶を申し上げます。

令和5年の柔道整復師の業界は「社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会」、「柔道整復療養費のオンライン請求導入等に関するワーキング・グループ」の開催により、柔道整復療養費のオンライン請求導入等の議論が大きく進められました。また、「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」が実に3年3ヶ月ぶりに開催されました。

オンライン請求導入の議論につきましては、厚生労働省や特定団体は「復委任団体」を廃止させようとしています。契約柔道整復師の復委任団体は単なる営利団体ではありません。柔道整復師が施術所を開設する時のサポートを行い、技術や保険請求等の知識を学ぶ場を提供し、提出された支給申請書を審査し、その支給申請書に疑義があれば施術管理者に訂正させ、保険者から送金された保険給付金の月別・患者別の明細を作成し、万が一の場合の賠償保険を準備し、トラブルが発生した場合の士業を紹介し、各種ボランティア活動の開催・共催など数えきれません。

これまで施術管理者は、上記の業務について費用を支払ってでも復委任団体に業務委託することにより、患者に費やす時間を確保し、家族とのひと時の団欒の場を作るなどしてきました。厚生労働省はオンライン請求導入の効率化の一つとして、「施術所の事務の効率化」を挙げていますが、復委任団体を無くすということはかえって施術管理者の負担を増大させるだけであります。
契約柔道整復師の負担を増大させないためにも、「復委任団体」を存続させるために取り組んでまいります。

また、いわゆる広告検討会では「整骨院」の名称使用存続の是非が議論されています。私どもの会員施術所数15,251ヶ所(令和4年3月31日時点)のうち、「整骨院」と表記する施術所が8,691ヶ所(57.0%)、「接骨院」と表記する施術所が6,560ヶ所(43.0%)であり、全国の約6割に及ぶ柔道整復師の施術所が「整骨院」という名称を使用しています。

「整骨院」という名称はすでに多くの国民理解を得ている状況の中で、「整骨院」の名称の是非を論じることは、『利用者が適切に施術所を選択するために、必要な情報が正確に提供され、その選択の支援と利用者の安全向上に資することを目的とする』ことを阻害することに繋がります。

施術所の名称につきましては、医療機関と紛らわしい名称を用いない等を明確にすることにより、利用者が適切な施術を受ける機会を阻害されないようにするとともに、利用者の安全を確保することが重要です。
多くの国民に認知されている「整骨院」という名称を存続させるために取り組んでまいります。

全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会を実現するため、地方公共団体、医療機関、保険者、企業、教育機関など多様な取組に加えて、ICTを活用したデータヘルスや個人を取り巻く環境整備、社会環境整備などの成果により、健康寿命は着実に延伸してきました。

私ども全国柔道整復師統合協議会は、全国15,149ヶ所の接(整)骨院の施術管理者の皆様を通じて国民(患者)の健康増進に寄与してまいりました。今後も、国や地方公共団体、医療機関等と連携・協力していきながら、「国民の健康寿命の延伸」という社会課題に取り組んでまいります。

また、すべての柔道整復師の社会的地位向上、未来の柔道整復師の育成、そして日本古来の徒手整復の将来への継承等の様々な問題について、同じ業界団体、開業されている柔道整復師、大学や養成施設などの関係者の皆様と一丸となって本年も全力で邁進いたします。
本年もよろしくお願い申し上げます。

令和6年元旦
全国柔道整復師統合協議会
共同代表 岸野雅方 田中威勢夫